委任・任意後見・死後事務委任
委任契約公正証書
委任契約公正証書とは、判断能力には問題ないけれど歩行困難である、寝たきりであるなどで銀行にも行けない場合、委任者が受任者に対して一定の範囲内の行為を代理して行う権限を付与するために、両当事者の間で締結する公証人作成の契約書です。
任意後見契約公正証書
任意後見契約とは、本人が十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約です。
この契約に関しては、必ず公証人が作成する公正証書にしておかなければならないとされています。
任意後見契約の種類
将来型
今は元気で健康だが、将来判断能力が低下した場合に支援が欲しい場合。
すなわち、任意後見契約を締結する際は未だ判断能力は低下していないが、将来判断能力が低下した場合に備えて任意後見契約するもので、判断能力が低下していない限り任意後見契約は効力を生ぜず、本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見人を監督する任意後見監督人を選任したときに、始めて効力が生じるタイプです。
移行型(委任契約と任意後見契約併用型)
財産管理について、体力的な衰えや病気などで判断能力が低下する前から支援が欲しい場合。
任意後見契約の締結と同時に、任意後見契約の効力が生じるまでの間の事務を委任する契約も締結する場合です。
即効型
既に軽度の認知症等で判断能力が低下しているが、なお契約を締結する能力があって、直ぐにでも支援が必要な場合。
任意後見契約を締結後、直ちに本人又は受任者が家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てることを予定したものです。
なお、上記各種任意後見契約締結の際に、死後事務の委任契約を併せて締結することができます。
死後事務委任契約公正証書
死後事務委任契約とは、本人(委任者)が第三者(個人、法人を含む)に対し、本人が亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋葬に関する事務等についての代理権を付与して、死後事務を委任する契約のことです。
死後事務の内容
⑴ 医療費の支払いに関する事務
⑵ 家賃・地代・管理費等の支払いと敷金・保証金等の支払いに関する事務
⑶ 老人ホーム等の施設利用料の支払いと入居一時金の受領に関する事務
⑷ 通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務
⑸ 菩提寺の選定、墓石建立に関する事務
⑹ 永代供養に関する事務
⑺ 相続財産管理人の選任申立手続に関する事務
⑻ 賃借建物明渡しに関する事務
⑼ 行政官庁等への諸届け事務
⑽ 以上の各事務に関する費用の支払い
公正証書作成の流れ
1.相談受付 ~必ず事前に電話で御予約ください~
ご本人(委任者)と任意後見人となる人(受任者)が、必要書類を持参の上公証役場を訪問し、公証人から説明を受けてください。
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2.公正証書案の提示
公証人が当事者の説明内容をもとに公正証書案を作成し、文案については郵送又はFAXなどで送付することも可能です。
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3.公正証書案の内容確認・検討及び作成日時の調整・決定
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4.作成当日
当事者お2人が実印を持参の上公証役場へ出向き、公正証書の内容を確認し、その内容で良ければ署名押印して完成となります。
必要書類等
委任者(後見をお願いする人)
印鑑登録証明書(3か月以内)、戸籍謄本、実印
受任者(任意後見人となる人)
印鑑登録証明書(3か月以内)、実印
※注:ご本人が入院中などで公証役場を訪問できない時は、公証人が病院や自宅に出張することも可能です。
その場合には、診断書(判断能力について『能力あり』と記載のあるもの。)をご用意いただく場合がありますので、お問合わせください。
判断能力が既に不十分な方は「法定後見制度」をご利用いただくことになります。お近くの家庭裁判所にご相談ください。
手数料
公正証書の作成手数料については、こちらをご覧ください。
⇒そのほか詳しくは、日本公証人連合会のウェブサイトの「4任意後見契約」をご参照ください。